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帳簿をつけていた手をふと止めて 「『に』がへたくそやねん」と言った。 「『に』?」 私の反応は当然こうなる。 大将はなぜか含み笑顔で 「うん。『に』 数字の『2』どうしても上手に書かれへんねん。どうも苦手みたい」 突然の告白に、私は戸惑った。どう返事をしてあげたらいいのやら。 取り敢えず、どのようにへたくそな『2』なのかを確認するために、書きたての帳簿から『2』を探し出してみた。 「……。」 残念ながら『2』と他の数字との、へたくそ度合いの違いを見つけてあげることは、私には出来なかった。今私にできることは、肯定も否定もせず細心の注意を払いながら、ただ曖昧に微笑んであげることだけだ。 しかし、そんな私のあやふやな笑顔に、大将は満足そうに「うん」とひとつうなずき、そして何事もなかったかのようにまた黙々と帳簿つけの作業へと戻ったのだった。 ____________________________________________ (HP) http://www.eonet.ne.jp/~takaraya/ 大阪市中央区谷町6-17-43「練」内 営業時間11:00~22:00(売切れ次第で閉店する場合もあり 定休日:水曜日 P:なし 最寄り駅:地下鉄松屋町駅③番出口徒歩1分 Since2007/8/12
by takaraya11
| 2016-06-14 11:01
| 大将
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